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濃いい!「アートで候 会田誠・山口晃」展@上野の森美術館

2007年05月23日

濃いい!「アートで候 会田誠・山口晃」展@上野の森美術館

月曜のオープニングはすっごい人出。私ごときが語らずとも、夜の上野のあちこちで、会田山口談義に花が開いたことと思いますが、それでもやっぱり、いいたくなりますよ。だって、すっごい面白かったんだもん!!!
展覧会情報はこちらです。

伝説の展覧会、「こたつ派」を起点とする師弟の間柄。その後両者ともに日本を代表するビッグスターへ、という流れで二人展ですから、ご両人バトルのアングルは容易に察しがつきます。が、奇しくも某ギャラリストが宣言したように、よりアートオタ的に見れば、スーパーフラット&マイクロポップ打倒?!な、真正日本男児芸術家によるアジテーションという、右翼直球の隠しテーマもここにはあるわけです。

でもね、そういう見えないコンテクストうんぬんっていうよりも、会場でもっとも感銘を受けたのは、やはり、圧倒的な強さを放つ、両者の作品のパワーそのものでした。
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Courtesy of Mizuma Art Gallery ©Makoto Aida

会田誠氏が昨年から格闘してきた渾身の力作、は結局未完だったのだけど、「もういいじゃん。好きなもの描いて癒されたい!」っていう、欧米のアート至上主義とかポリティカルな話題をいっさい放棄し、好きなものだけ描きました的な彼の開き直りと、だからこその集中力がこの作品には結晶化していて、この絵を前にした私は、わけもなく感動にうちふるえてしまったのでした。たしかに、幼女の破廉恥な肢体をヘーキで描いちゃう会田節に、非難・嫌悪があびせられる事実はいなめません。けど、アートの王道である「欲望の真髄=エロ」という主題をまんま描いているアーティストが現代美術界にどれだけいるのか?と考えると、アラーキー以外、すぐに思い浮かばないのが実情です。とすると、「日本男子の好きなタイプって実はこうでしょ?」と、アキバなノリも少しまじえつつ、世間一般の一断面をあからさまに描いてみせる彼は、相当なリアリストかもしれない、と思うわけです。

で、一方の山口晃氏ですが、あらためて見ると、やっぱりこのお方の筆力はすごい!会場で遭遇したアート関係者の方が、しみじみ「この線の力はすごい!見入ってしまいますねえ」とおっしゃっているのが印象的でしたが、現世において、ここまで自由自在に時空を超えた世界を描ける達人、そうはいないと思います。とくに個人的に興奮したのが、前にミヅマAGで発表されていた四天王!この艶っぽさはたまりません!!!(私にとっては、こっちのほうがエロです・・)
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Courtesy of Mizuma Art Gallery ©Akira Yamaguchi

両者の力業が光る一階展示を、相当時間を掛けて堪能した後は、前評判の高い?二階のオルタナ空間へ。
「山愚痴屋澱エンナーレ2007」って、なんじゃそら?って感じですが、ようは、今年一斉に欧州でスタートする、ヴェネチア・ビエンナーレだとかなんとかかんとかの国際美術展に対抗する姿勢の表明っていうことで。事の発端となった「こたつ派」が、そもそも1997年のドクメンタ、ヴェネチア・ビエンナーレとかが重なるまさに今年と同じようなアート的盛り上がりイヤーだったこととも、遠く重なっていたりします。超アート業界的コンテクストががっつりと敷かれています。

そうはいっても、意外と、いわゆる現代アートを揶揄してるようで、なにげに茶化しただけの俳諧アートby山口が並ぶなか、かなり(失笑)のツボだったのがこの作品です。
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Courtesy of Mizuma Art Gallery ©Akira Yamaguchi

たぶん、アートどっぷりピープル以外には、なんのこっちゃ?な伏線もたくさん錯綜している二階展示。欧米の植民地的価値観を無理矢理導入した結果、ねじれねじれて屈折せざるをえなかった日本の現代美術の状況を、いやがおうにも背負い、打破せざるをえなかった彼ら世代特有のドグマが、それはもう、ぐーるぐると渦巻いています。その中でも、とくに痛く、つきささってきた作品が、会田氏によるこれ↓、でした。もちろん、「ビンラディーン、ニッポン、潜伏チュウ〜」のビデオも秀逸なのですが、この絵はある意味、今展のウラの核なのかなって。これが絵かよ?!っていう挑戦状で。
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だってね、タイトルがこれ↓なんだもん。この元ネタがわかるあなたは、相当なアートオタですよ〜
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Courtesy of Mizuma Art Gallery ©Makoto Aida

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レセプションの挨拶で、会田氏はやたらと未完だった言い訳をネタにして、ごにょごにょごにょごにょと発言していました。一方の山口氏は、トレードマークだった明治の文豪風お髭をさっぱり落として、お弟子チックな若さをアピールしつつ、さすがな洒脱な語り口が印象的で。連日の設営で疲労困憊の会田さん、話し終わるとさっさと座り込んじゃう、つつみかくさぬケダルーい様子が、妙にリアルで親しみがもてちゃったり。

日本美術の21世紀的最後の毒出し=デトックス、なのかな? 普通に笑えて、普通に楽しめるポップさと、わかる人にはわかる的なマイナーなコンテクストが、こうも両極混じり合って凝縮しているのが正直、驚きでした。とんでもなく破壊的なパンクで、とんでもなく絵が面白い。ともかく、今期必見の展覧会であることは間違いありません!(わけわかんない文章、ご容赦ください〜) 6/19まで。

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「アートで候 会田誠・山口晃 展」@上野の森美術館 もっとも注目される現代/日本/芸術家の双頭、 会田誠×山口晃展に行ってきましたよ。 「和... [詳しくはこちら]

コメント (4)

浅田彰によって「さんざん停滞した日本の美術界」というフレーズが奥深いな。

もう一度、きちんと展示を見にいこうと思わせるブログ記事の内容でした。

上野の森の新緑と「こたつ派」のコントラストがとてもすがすがしくて気持ちが良かった。

>富永さま
コメントをありがとうございます!むちゃくちゃ、うれしいです!!!

密度が濃くて、一度では把握しきれない展覧会でしたよね。ディテールにこそ真実があるといいますか。
二度目に行かれましたら、ぜひその感想を(&拙記事への反論も!?)、お寄せくださいませ。
またいらしてくださいね〜。

あ。
二度目に上野の森へ行った感想を書きます。
丁度、美術館の入り口で、
「けーっ。なんでぇ」てな顔をした外人とすれ違ったので、聞いてみると、想像していたほどイノセントではなかった。
と答えていました。
それが、とても面白くて、「あぁ、やはり会田は力があるなぁ」と思いました。

このブログにもある、スクール水着の青と肌色のコントラストが、アムステルダムに居る間、脳裏に蘇ってきて、居心地が悪かった。
あ。脳みその中でのなんらかの居心地です。

それぐらい強烈な力を持っている絵画だと言うことだろうなぁ。

僕、個人としては今回の展示では電信柱の絵が良かった。

展示会場を出て、駅へ向かう途中で山口画伯に会えたのも、気恥ずかしくも嬉しかった。

彼の、「われ、このようにして絵を描く」というような意味のタイトルの作品がなかったのが残念です。昔、ミズマで見た気がするんだけれど、他の人の作品なのかな?
日本刀の先に絵筆がついているオブジェ。

と、ここまで、だらだら書いていて、宮村さんもオランダにいたんですね!!

僕はアムステルダムのステデリュック美術館の地下室で、w139/Basementという展覧会に参加していました。
あの、セントラルステーションの近くの美術館があるビルは面白いです。
なんかね、壊しているのか造っているのか、判らないエネルギーが渦巻いていました。

レセプションには500人来てくれたけれど、まぁ、アムステルダムのことだから、よく効く煙草が充満し始めて、ふらふら。

>富永さま
再度のコメントありがとうございます!
そうなんです、私、アムスにいましたよー!
ステデリック美術館に行こうと美術館広場に向かったら改修中で、駅前に仮住まいしているという張り紙を見た時は、もう時間切れでした。残念。
いや、アムス、短い滞在でしたが、めちゃめちゃ面白かったです。また訪れたいと思いました。
展覧会、見たかったなー。。

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写真:ミヤムラノリコ

宮村周子(みやむらのりこ)

アートの編集者&企画者。クリエイティブ・ユニット「来来/LaiRai」所属。

ペーパー版『lammfrommer zettel's traum』編集人。

あだ名=みやむー(アニヲタの方、おゆるしを~)。

日頃見聞したなかから、絶対に見てもらいたいおすすめ展覧会情報など、書き散らかします。

情報、コメント大歓迎。